From the Oblivion - 忘却の記憶

会期
2024/08/02(金)〜 2024/09/08(日)
出品作家
阿部大介
会場
POOL SIDE GALLERY, 石川(金沢)

[会期]
2024年8月2日(金) - 9月8日(日)

[出展アーティスト]
阿部大介 | Daisuke Abe
山西杏奈 | Anna Yamanishi
和田直祐 | Naosuke Wada

[協力]
AIN SOPH DISPATCH, 愛知 / TEZUKAYAMA GALLERY, 大阪

[会場]
POOL SIDE GALLERY, 石川(金沢)
石川県金沢市広坂1丁目2-32 北山堂ビル2F

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POOL SIDE GALLERYでは、2024年8月2日(金)から9月8日(日)までの会期にて「From the Oblivion - 忘却の記憶」を開催いたします。

本展では記憶の断片や忘却のプロセスに焦点を当て、記憶と忘却との関係性について考察します。
人の記憶とは時間の経過とともに薄れ、曖昧さや抽象性を持ちます。個人レベルでの思い出の喪失だけでなく、社会的な価値観や文化の転換、環境の変化によって齎される消失など、さまざまなカタチで忘却という概念は私たちの周りに存在しています。それらは時に不可避的であり、避け難いものだと言えます。

本展で紹介するアーティストは、記憶の儚さや脆弱性、時間の流れがもたらす感情の機微やその複雑性を内包しながら作品とし、独自の視覚言語を立ち上がらせています。阿部の作品は肉眼では捉え切れないような物に刻まれた時間の形跡や人の記憶の痕跡を、特殊なインクを用いて皮膜のように剥がし取ることで内包し、顕在化させます。山西は布や紐といった誰もが触れた経験がある「もの」の柔らかな手触りや質感を想起させるモチーフを、木という硬質感・質量を感じさせる素材に彫り込む事で物質とイメージの間に相反する関係性を生み出し、鑑賞者の認知機能を揺さぶります。また、和田の作品は高透明のメディウムを何層にも重ねることで、過去・現在・未来が相互関係であるかのように、多層的に集積されていく記憶や時間の構造を流動性を伴った視覚体験を有した絵画として表現しています。

是非、この機会にご高覧賜りますようお願いいたします。

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[出展アーティスト]

阿部大介 | Daisuke Abe
1977年京都府生まれ。2004年に愛知県立芸術大学大学院美術研究科を修了。
私の制作において、様々なモチーフと対峙することはスリリングな経験であり、新たな思考や制作方法と向き合う動機となります。このようなモチーフとの出会いの中で獲得した思考や制作方法を用いて、既存の物質の表面やイメージを他の素材に変換した立体や平面作品を制作しています。本来あるべき物の姿を、他の素材に置き換える事で、肉眼では確認できないような、物に刻まれた時間の跡や行為の跡を可視化することができます。また、別の物質へと変容させる工程には何かへと蘇生するような感触があり、制作において重要な要素になっています。物質の内と外との境界が振動し、機能や形態が曖昧になっていく様は、暴力的な要素をはらみながらも他のものへ転生していく姿など、多様な想像を内包する力があります。様々な事物の価値を揺らぎながら提示したいと考えています。
主な個展に「余白の皮膜」(AIN SOPH DISPATCH / 2023)、「Figure」 (AIN SOPH DISPATCH / 2019)、「現代美術レジデンスプログラム / 皮膚感覚 阿部大介展」 (美濃加茂市民ミュージアム / 2015)。主なグループ展、アートフェアに「版の実験場~プリントアートの現在地~」(たましん美術館 / 2023)、「ART TAIPEI 2017」(台北世界貿易センター / 2017)、「Dialogue」(TEZUKAYAMA GALLERY / 2017)、など。

山西杏奈 | Anna Yamanishi
1990年 大阪生まれ。2014年京都市立芸術大学大学院 美術研究科修士課程工芸専攻漆工分野を修了。
日常にありふれた、見過ごしてしまいそうな瞬間を掬い上げ、そこにある自身と他者の共有し難い知覚について作品化しています。
主に木彫の作品を制作し、イメージと素材がバランスをとりながら存在する状態を作り出す。木という素材が持つ硬質感や重量感、塊であるという性質の中に、それと対極するような軽さや柔らかさ、薄さを連想させるイメージを重ねることで、視覚的な違和感を出現させ、「見る」という経験を通して物質とイメージのあわいに触れる経験を作り出します。モチーフや表現形式の直接的な意味や物語を超えて、抽象的にあらゆる関係が持っている両犠牲について模索しています。
主な個展に「情緒的な尺度 」(gallery crossing  / 2022)、「自然体の自然 」 (2kwgallery  / 2022)、「transparent color」 (gallery KUNST ARZT / 2014)。主なグループ展に「visualize」(haku kyoto / 2024)、「つきうつし」(ギャラリー16 / 2023)、「Kyoto Art for Tomorrow-京都府新鋭選抜展2023」(京都文化博物館 / 2023)、「ウィルヘルミーの吊り板」(MEDIASHOP gallery / 2020)など。

和田直祐 | Naosuke Wada
1983年兵庫県に生まれ。2013年に京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院芸術研究科を修了。薄く溶いた絵の具を幾層にも塗り重ねる古典絵画の技法「グレージング」を参照し、光と空間をテーマに制作しています。高透明のメディウムを用いてレイヤーを構築し、透過効果による流動性を伴った絵画は、光が当たる場所や時間によって色やかたちが微量に変化し、「見る」という行為への再考を促します。
主な個展に「Whole set of No.2 to 8」(GALLERY 麟 / 2023)、「Pathway」 (TEZUKAYAMA GALLERY / 2022)。主なグループ展、アートフェアに「切磋-絵画の証Ⅳ」(TEZUKAYAMA GALLERY / 2023)、「Sydney Contemporary 2023」(Carriageworks / 2023)、「間 そうぞうのよはく」(graf porch / 2023)、「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2022」(福岡国際会議場 / 2022)、「ART OSAKA 2022」(大阪市中央公会堂 / 2022)、「can (not) reach」(EUKARYOTE / 2022)、「和田直祐・小川万莉子: full-size room」(GALLERY 麟 / 2021)、「類比の鏡 / The Analogical Mirrors」(山中suplex / 2020)など。