本ノ来タ道/其処ニ這フ草

ふるかはひでたか / Hidetaka Furukawa

会期
2018/11/10(土)〜 2018/11/24(土)
開廊時間
13:00〜19:00
休廊日
木曜休廊

【Artist Statement】

『本ノ来タ道/其処ニ這フ草』について

 2005年の「どんぐりひろばプロジェクト」を切っ掛けとして、名古屋城下周縁部から始まったCULTIVATEシリーズ。文化の語源である「耕す」という言葉を頼りに(まさに土地を耕し新たな種を撒くように)、街の歴史を掘り起こし改めて土地に根ざす文化を見据えようと試みる作品群です。これまで岡崎(愛知)や岐阜、日本橋(江戸/東京)など地方・中央の都市部から、山あいの町、六つの離島など各地さまざな斬り口で展開しています。

 そんななか、これら一連の仕事に関連し2016年あいちトリエンナーレ・レクチャープログラムでは、「長者町のいまとむかしを歩く」と題し、街歩きを引率させていただきました。このイベントに伴う、旧名古屋城下中心部でのフィールドワークが、僕の手元に不思議な感覚を残したのです。

 名古屋城下の人口は、幕末に至るまで十万人にも満たなかったといわれます。江戸の百万と比べれば随分、小さな都市です。しかし、この小ささ故でしょうか。豊富に残る資料に分け入れば、なんとそこからは人と人との縁までが窺われるように思われたのです。それで彼らの連関を訪ね、実際の街角や資料のあいだを辿っていくと、俳諧、出版、貸し本、国学、園芸、本草学……など、当初バラバラに見えていた歴史上のエピソードはひとつのストーリーへと綯い合わされていくのでした。

 僕はイベント後これを文章に纏め、それが今回の展覧会の取材日記となりました。つまり本展は、2016年の街歩きを二年掛けて作品化したものといえるでしょう。このたび晴れてお披露目する、近世名古屋城下を耕したCULTIVATEシリーズ最新作、どうぞ万障繰り合わせの上、ご高覧くださいませ。

ふるかはひでたか | Hidetaka Furukawa