山田純嗣 / Junji Yamada
主な経歴
- 1974 長野県飯田市生まれ
- 2000 愛知県立芸術大学大学院美術研究科研修生油画専攻修了
- 2022 令和4年度文化庁新進芸術家海外研修制度によりフィンランドに滞在
- 主な個展
- 2026 Microtonal(AIN SOPH DISPATCH / 名古屋)
- 2025 Touch of Silence(日本橋高島屋美術画廊X / 東京)
- 2024 Metsä(不忍画廊 / 東京)
- 2022 絵画をめぐって あることとないこと(不忍画廊 / 東京)
- 2021 絵画をめぐって 花と花瓶(AIN SOPH DISPATCH / 名古屋)
- 2020 絵画をめぐって - 点景 -(不忍画廊 / 東京)
- 2018 絵画をめぐって - 影のない II -(AIN SOPH DISPATCH / 名古屋)
- 2018 絵画をめぐって - 2・3・2 -(日本橋髙島屋美術画廊X / 東京)
- 2017 絵画をめぐって - 影のない -(不忍画廊 / 東京)
- 2015 空白の触覚(AIN SOPH DISPATCH / 名古屋)
- 2015 絵画をめぐって(Bunkamura Gallery / 東京)
- 2014 絵画をめぐって 反復・反転・反映(不忍画廊 / 東京)
- 2014 絵画をめぐって 理想郷と三遠法(一宮市三岸節子記念美術館 / 愛知)
- 主な展覧会
- 2024 I want to see the other side of the scenery you saw(AIN SOPH DISPATCH / 名古屋)
- 2023 美術と風土 アーティストが触れた伊那谷展(飯田市美術館 / 長野、辰野美術館 / 長野、豊中市立文化芸術センター / 大阪、白沙村荘 橋本関雪記念館 / 京都、碧南市藤井達吉現代美術館 / 愛知)
- 2022 ひみつの花園-Our secret flower garden-(東大阪市民美術センター / 大阪)
- 2022 軌(わだち)をたどる――5人の画家たちの「あれから」(清須市はるひ美術館 / 愛知)
- 2021 絵画の証Ⅲ -東海版-(TEZUKAYAMA GALLERY / 大阪)
- 2019 情の深みと浅さ(ヤマザキマザック美術館 / 名古屋)
- 2019 アイチアートクロニクル1919-2019(愛知県美術館 / 名古屋)
- 2018 めがねと旅する美術展(青森県立美術館、島根県立石見美術館、静岡県立美術館)
- 2018 □△◯-まるさんかくしかく-(島根県立石見美術館 / 益田市)
- 2016 BIWAKO BIENNALE 2016 見果てぬ夢 Eternal Dream(滋賀県近江八幡旧市街)
- 2016 第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016(京都市美術館)
- 2013 アイチのチカラ! 戦後愛知のアート、70年の歩み(愛知県美術館)
- 2012 ポジション2012 名古屋発現代美術 この場所から見る世界(名古屋市美術館)
- 2010 第29回損保ジャパン美術財団選抜奨励展(損保ジャパン東郷青児美術館)
- 2009 ―Life & Art ―「版で現す」(東広島市立美術館)
- 2006 VOCA2006 現代美術の展望―新しい平面の作家たち(上野の森美術館)
- 主な受賞歴
- 2016 第2回 PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016 一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団賞
- 2010 平成21年度愛知県芸術文化選奨《文化新人賞》受賞
- 主なパブリックコレクション
- 名古屋市美術館(愛知)
- 上海半島美術館(中国)
- 愛知県美術館(愛知)
- 国立台北藝術大学関渡美術館(台湾)
- 東京ステーションギャラリー(東京)
- 浙江省美術館(中国)
- 国立台湾美術館(台湾)
- 清須市はるひ美術館(愛知)
- 上山田文化会館(長野)
- 桜ヶ丘ミュージアム(愛知)
- 神奈川芸術文化財団
(26-1) VÄÄRÄMÄKI JYVÄSKYLÄ, FINLAND, OCTOBER
雁皮紙、ファブリアーノ紙 / ドライポイント、雁皮刷り
51.5×40cm、2025-2026年
【Artist Statement】
Microtonal
人はときに風景を前にして「絵のようだ」と感じることがあります。雪によって世界が白く統一されるときや、森の中で視界が植物の密度に満たされるとき、風景は一つの秩序を持つ画面として立ち上がります。私はそうした風景を求めて2022〜23年にフィンランドに渡りました。
それまで「絵画とは何か」という問いに対して、私は頭の中に描いた風景や既存の絵画を立体として再現し、それを写真に撮影し銅版画を重ねるという制作をしていました。しかし頭の中の風景ではなく、現実のフィンランドの風景を前にしたとき、これまでの方法では、この風景の絵画性を再現することは困難だと感じました。
そこで試行錯誤を重ねる中で出会ったのが原初的な技法のドライポイントでした。目の前の圧倒的な風景に対して、結局は時間をかけて一本一本の線を刻み続けることでしか対峙し得ないと考えたからです。
制作は写真を起点に始まりますが、一瞬で捉えた像を、長い時間をかけて銅板に刻み直していきます。その過程で、手の動きや筆圧による揺らぎが生じ、さらに刷ることでそれはインクの滲みを生じさせます。私はこれらの身体と工程の双方から生じる予測不可能な変化を「ノイズ」として捉えています。それは単なる乱れではなく、円における円周率πのように、像の内部に不可避的に含まれ、その成立を支えている割り切れない要素です。
円という完全な形が、無理数である円周率πによって成立しているように、目の前にあるものは常に割り切れない要素を内側に含んでいます。人間もまた世界に対してそのような存在であり、ノイズとして作用しています。写真という秩序に対して、身体と版画の工程が生み出すノイズが介入するとき、像は単なる再現を超えて絵画として立ち上がるのではないでしょうか。
私はこのようにして生じるノイズの集積によって形成される無段階のトーンのドライポイントを「Microtonal Drypoint(マイクロトーナル・ドライポイント)」と呼ぼうと思います。ここでいうマイクロトーナルとは、音楽における微分音のように、通常は知覚されないほどの微細な差異が、全体の構造を規定している状態を指しています。静かだけれど無音ではない森の中で感じた空間の密度は、固定された音階では割り切れない揺らぎや、複数の声部が重なり合って一つの空間を形成する多声音楽にも似ています。世界の微細な差異とノイズに目を向け、触れるとき、絵画は立ち上がるのです。
Junji YAMADA
1974 Born in Iida City, Nagano Prefecture, Japan
1984 Moved to Sobue-cho, Nakashima-gun, Aichi Prefecture (now Inazawa City); lived in Nagoya City since 1991
1997 B.F.A. in Oil Painting, Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music
1999 M.F.A. in Oil Painting, Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music
2000 Completed Graduate School of Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music, Trainee Oil Painting Course
2000-03 Part-time lecturer at Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music, Department of Oil Painting
2008 Part-time lecturer at Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music, Department of Oil Painting
2020 Part-time lecturer at Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music, Department of Oil Painting
2022 Stayed in Finland under the 2022 Agency for Cultural Affairs Overseas Study Program for Upcoming Artists
Currently lives in Jyvaskyla, Finland