阿部大介 / Daisuke Abe

版画を軸に、日用品から床や壁まで日常に溢れる物の表面を剥がしとり、様々な表現方法で発表。


Untitled・Tools
工具、アクリルメディウム、Installation view、2023年

【Artist Statement】

初めてエッチングプレス機を使って版画を制作した時の感覚は、皮膚と対峙するかのような驚きがあった。この時の経験が現在の制作においても重要なモチベーションとなっている。

今回の展示では、自身が長年使用していた工具やリサイクルショップで見つけた古びた工具を版にして制作をしている。様々な用途で使用された工具には、携わった人の痕跡や経年劣化の跡が刻まれている。中にはひどく錆びついたり、大きく歪んだりして本来の機能を果たせない物も多くある。その趣には人と対峙するかのような不思議な感覚があった。剥がしとった皮膜は薄く不安定な状態でありながら、多様な思考や感情が入り込める余白のような存在としてありたいと願っている。

https://www.daisukeabe.net/