伊藤正人
2017/12/09(土) 〜 2017/12/23(土) 13:00〜19:00 木曜休
Artist Comment
よく、書きあぐねたじぶんの小説から目を背けて風景をぼんやりみている。
よそ見をしているうちに気づいたり、わすれていくことがある。
春にあふれた桜は散っていくし、騒がしかった蝉はいつのまにか鳴き声がきこえなくなる。
紅や黄に色付いた葉はそのうちに枯れ果て、降りだした雪は溶けてなくなる。
それらのあいだにもこまやかな季節の機微はあるけれど、四季の現象というものはあらわれたらきえていくさだめにある。
ふたたびその季節がおとずれるまで一旦わすれて、思い出す瞬間を待つ。
そんな思い出しかたとわすれかたが美術と小説のあいだにもちらりと光っているようにみえる。
気づくことができなければつづく言葉はみつからないし、わすれなければ思い出すこともできないのだから。
伊藤正人 | Masato Ito